『今年の桜まで間に合わない』
そんなお話をされました。
『1本で咲く、桜の木が好きなの』
悠々と、どっしりと、古木にもかかわらず
その身を、振り絞って咲くかのような・・
『そのお友達に、せめて写真を届けてあげたいの』
わかりました。
『そのお写真、手配しましょうか?大丈夫です』
ねがはくは 花のもとにて 春死なむ そのきさらぎの 望月のころ
自分がその時を迎えたら、何を求めるだろうか。今はやはりわからない
冬枯れの 時が来ぬとも 眺めしは あなたのために 今宵こそ咲く
倖子